排水口からふと嫌な臭いを感じたことはありませんか?
「うわ、まさか下水の臭いが上がってきてるんじゃ…?」と不安になったことあると思うのです。

実は私もそうでした。
特に賃貸マンションやアパートに住んでいた頃、キッチンや洗面所からなんとも言えない嫌な臭いが漂ってくるたびに「これは下水の臭いがあがってきているんだ」と信じ込んでいたのです。

ところが、この考えは間違いだったのです。
仕事で下水や排水の仕組みについて学ぶ機会があって、そこで初めて本当の原因を知りました。
今回は、その「排水溝の臭いの正体」と「なぜ下水の臭いは上がってこないのか」について、わかりやすく解説していきます。

排水溝の臭いの原因は?

排水溝から漂うイヤな臭い、その正体は「下水」ではありません。
では何かというと、多くの場合は 排水溝や排水管内に残った汚れやぬめり が原因です。

キッチンなら、食べ物のカスや油分。
洗面台なら、石けんカスや髪の毛。
お風呂場なら、皮脂やシャンプーの残り。

これらが少しずつ溜まり、雑菌が繁殖することで悪臭が発生します。
つまり、「生活排水の残りカス」が臭いのもとになっているのです。

下水の臭いが排水口まで上がってきているわけではないのです。

トラップのおかげで下水臭は上がってこない

実は、私たちの家の排水溝には必ず「トラップ」と呼ばれる仕組みが組み込まれています。
このトラップこそが、下水の臭いを防いでくれるのです。

トラップにはいくつか種類がありますが、基本的な役割は同じです。
それは 水をためてフタのようにすること

例えば洗面台や台所のシンクの下を見ると、配管が「U字型」や「S字型」に曲がっているのを見たことがありませんか?
あの曲がり部分に水がたまることで、下水からの臭いや害虫が上がってくるのを防いでいるのです。

この仕組みのおかげで、私たちは下水の臭いを感じずに生活できているというわけですね。

それでも臭いがするのはなぜ?

「トラップがあるのに、うちの排水溝から臭いがするんだけど?」という方もいるでしょう。
実は、トラップがあっても臭いが発生することはあります。その主な原因は以下の通りです。

  • 長期間水を流していない
     トラップにたまった水が蒸発してなくなると、臭いが直接上がってくる。
     (例:長期不在後の空き家や使っていない部屋の洗面所)
  • トラップの水が汚れている
     油や汚れが溜まって雑菌が繁殖し、悪臭の発生源になる。
  • 排水管の内部が汚れている
     髪の毛や食べかすが引っかかり、ぬめりやカビが増殖してしまう。

臭いを防ぐための対策

臭いの原因がわかれば、対策もシンプルです。

  1. 定期的な掃除
     キッチンなら排水口のゴミ受けを毎日掃除する。
     洗面台やお風呂は、髪の毛や石けんカスをこまめに取り除く。
  2. お湯を流す
     週に一度程度、60℃程度のお湯を流すと油汚れやぬめりが流れやすい。
  3. 排水管の洗浄
     重曹を振りかけ、その上からクエン酸水を注ぐとシュワシュワと発泡し、汚れが浮き上がる。
     重曹(アルカリ性)とクエン酸(酸性)の化学反応で排水管の汚れを浮かせてきれいにすることができます。
     重曹とお酢でも同様の化学反応で洗浄可能です。

     パイプクリーナーやピーピースルーFの様な配管洗浄専用の洗剤を使うのももちろん効果的です。
  4. 長期間使わない排水口には水を補給
     旅行や出張で家を空けるときは、排水口にコップ1杯の水を流しておくと安心。
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まとめ

排水溝から嫌な臭いがすると、「下水の臭いだ!」と勘違いしてしまいます。
しかし、実際は下水臭が直接上がってくることはなく、ほとんどの場合は排水口や排水管内の汚れが原因です。

下水から上がってくる臭いを防いでいるのが「トラップ」という仕組み。
水がフタとなり、下水の臭いや害虫をブロックしてくれているのです。

つまり、排水溝の臭いを防ぐコツは「清潔に保つこと」と「トラップの水を切らさないこと」。
この2つを意識するだけで、嫌な臭いに悩まされることはぐっと減ります。

次に排水溝の臭いが気になったら、下水を疑う前に「トラップは大丈夫かな?」「掃除したかな?」とチェックしてみてください。
それだけで、臭いの無い快適な暮らしに近づけますよ。