冬といえば、水道管の凍結トラブル。
私自身、設備屋として現場を回っていたときに冬の朝はよく凍結修理の依頼が入りました。

以前、凍結深度についての記事を書いたことがありますので興味があれば読んでみてください。

今回はお風呂の凍結にスポットを当てて、詳しく説明していきたいと思います。

水道管凍結といえば「蛇口」?

「水道管が凍結する」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのは 蛇口の凍結 ではないでしょうか。

昔は、冬の夜に蛇口を少しひねって水をチョロチョロと出していた記憶、ありませんか?
凍結防止の定番対策として昔から知られている方法ですね。

ですが実際、凍結修理の現場に出てみると、意外なことに 台所の蛇口が凍るケースは少ない のです。

じゃあ、どこが凍るのか?

私の経験上、 お風呂まわり(特に給湯器や浴槽まわりの管) が凍結することがとても多いんです。

蛇口の水を少量出して凍結に備える方法は、水道局も推奨する効果的な対応です。

凍結の大敵は「寒さ」より「風」

凍結というと「気温が低いから」と思いがちですが、実は 風が強い日のほうが凍結リスクは高い のをご存じでしょうか。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがありますが、設備屋にとっては「風が吹けば凍結修理が増える」と言っても過言ではありません。

大雪の日は、案外凍結のトラブルが少ないんです。
ドカ雪の日は、工期が長い現場の除雪で1日が終わったりと静かな日が多いのですが、夜中に強風が吹くと一転。
あちこちから「水が出ない!」「漏水してる!」と電話が来ます。

私も現場作業のほかに事務方の仕事もしていたので、凍結修理の依頼が入ると大忙しでした。
現場に向かって写真を撮り、減免申請の書類を作成。
修理後の写真を撮って、お客さんにサインをもらって…という流れを一日に何件もこなすこともありました。

つまり、気温が低いだけではなく、風によって配管が一気に冷やされること が凍結を引き起こす大きな原因なのです。

お風呂の凍結防止法はとてもシンプル

では、凍結が多いお風呂まわりをどう守ればいいのか?

実は方法はとてもシンプルです。

お風呂は入る直前に洗うこと!

これだけで凍結リスクをぐっと減らすことができます。

残り湯が「天然の保温材」になる

理由は簡単で、浴槽に残り湯があることで管の中にある程度水が残り、冷えにくい状態を保てるからです。

逆に、夜のうちにお風呂を洗ってしまうとお湯を全部流すことになり、管の中はほとんど空っぽの状態になります。
この「少量の水+空気」という組み合わせが一番凍りやすいのです。

つまり、残り湯があることで凍結の“クッション材”の役割を果たす というわけです。

風は床下まで入り込む

「お風呂って家の中にあるし水道管も床下じゃない?」と思うかもしれません

ところが実際には、床下や縁の下を通っている部分に風が入り込み、思った以上に冷やされています。

特に雪がないときは注意。
雪が積もっていると風を遮ってくれるので意外と凍りにくいのですが、雪が少なくて風が強い日は要注意です。

凍結防止の習慣を

寒い地域に住んでいると「冬は水を出しておく」などの習慣が当たり前になっていますが、都市部や比較的温暖な地域ではあまり意識されていません。

ですが、寒波や強風が重なると地域を問わず凍結トラブルは起こります。

お風呂については、

  • お風呂は入る直前に洗う

これを心がけるだけで、かなり凍結を防げます。

まとめ

水道管の凍結は「気温が低いから」という単純なものではありません。
むしろ、強風によって配管が急激に冷やされること のほうが大きな原因になることもあります。

特にお風呂まわりは凍結が起きやすい場所。
残り湯を活かすことで、簡単に凍結リスクを減らせるのでぜひ実践してみてください。

きっと、安心して冬を乗り切れるはずです。